ポリシー・ルール・タイプ

サポートされるポリシー・ルール・タイプは、データベース要求、ファイル要求、プログラム要求、開始要求、ストレージ、ストレージ要求、同期点要求、時間、TD キュー要求、TS キュー・バイト、および TS キュー要求です。

データベース要求

データベース要求ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって実行される DB2® SQL 要求数のしきい値を定義します。また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 カウントには、出口によって発行される SQL 要求が含まれます。 例えば、CICS® VT によって SQL 要求に変換される EXEC CICS FILE 要求を発行するプログラムは、ファイル要求しきい値と SQL カウントしきい値の両方をカウントします。

ファイル要求

ファイル要求ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって実行される EXEC CICS ファイル・アクセス要求数のしきい値を定義します。 また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 しきい値は、特定のファイル・コマンド (READ など) に適用されます。 これは、すべてのファイル・アクセス要求の累積カウントではありません。 ファイル要求は、アプリケーションがファイル制御要求を行った時点でカウントされます。 XFCREQ グローバル・ユーザー出口によって応答コード UERCBYP (要求を無視) が返された場合も含め、要求の成否に関係なくカウントされます。 要求は、アプリケーション専有領域 (AOR) のタスクの下でカウントされます。ファイルがローカルであるかリモートであるかには関係ありません。 ファイル専有領域 (FOR) の中で要求がカウントされるのではありません。

プログラム要求

プログラム要求ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって実行される EXEC CICS LINK 要求または EXEC CICS INVOKE APPLICATION 要求の数のしきい値を定義します。 また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 このルール・タイプは、ローカルまたはリモートで処理される要求に適用されます。 XPCREQ グローバル・ユーザー出口によって応答コード UERCBYP (要求を無視) が返された場合も含め、要求の成否に関係なく適用されます。 リモート領域で開始されるタスクのうち DPL 要求を処理するものは、その DPL の発行元タスクに適用されるルールのスコープ外になります。 そのため、リモート・タスクがさらに要求を実行したとしても、それらはローカル・タスクによるカウントには含まれません。

注: EXEC CICS INVOKE APPLICATION 要求は、EXEC CICS LINK 要求のカウントに含まれます。それらを別個にカウントすることはできません。

開始要求

開始要求ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって実行される EXEC CICS START 要求数のしきい値を定義します。 また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 すべての EXEC CICS START 要求がカウントされます。 XICREQ グローバル・ユーザー出口によって応答コード UERCBYP (要求を無視) が返された場合や、XICERES 出口によって応答コード UERCPURG (必要なリソースが使用不可) が返された場合も含め、要求の成否に関係なくカウントされます。
注: リモート領域での機能シップ EXEC CICS START 要求に関するポリシーを使用する場合のトリガー・メカニズムは、領域間通信プロトコルと設定に依存します。 詳しくは、「CICS TS V5.2 製品資料」の『ミラー・トランザクションと変換プログラム』を参照してください。

ストレージ

ストレージ・ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって割り振られるストレージ量のしきい値を定義します。 また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 しきい値は、特定のストレージ・クラス (31 ビット・タスク・ストレージなど) に適用されます。 これは、すべてのストレージ要求の累積カウントではありません。

しきい値カウントには、1 つのユーザー・タスクによって実行されるすべての成功した GETMAIN 要求 (明示的な EXEC CICS GETMAIN 要求と、他の EXEC CICS コマンド (EXEC CICS READ FILE SET など) への応答で発生する暗黙的な GETMAIN 要求の両方) が含まれます。 タスク関連のストレージ要求 (task24、task31、および task64) の場合、成功する明示的または暗黙的な FREEMAIN 要求をタスクが発行すると、カウントが減分されます。ただし、共有ストレージ (shared24、shared31、および shared64) の場合は、タスクが共有ストレージを解放してもカウントは減分されません。

重要: NOSUSPEND オプションを指定した EXEC CICS GETMAIN コマンドがイベントのアクションを指定するルールを満たす場合、イベント・データのキャプチャーの間、タスクが中断する場合があります。

ストレージ要求

ストレージ要求ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって実行される GETMAIN 要求数のしきい値を定義します。また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 これは、ストレージ・ポリシー・ルール・タイプとは異なります。後者が使用されるのは、割り振られたストレージの量に基づいてしきい値を定義する場合です。ストレージ要求しきい値カウントには、1 つのユーザー・タスクによって実行されるすべての GETMAIN 要求 (明示的な EXEC CICS GETMAIN 要求と、他の EXEC CICS コマンド (EXEC CICS READ FILE SET など) への応答で発生する暗黙的な GETMAIN 要求の両方) の数が含まれます。 ストレージ要求のカウンターは、要求が失敗すると増分されます。

重要: NOSUSPEND オプションを指定した EXEC CICS GETMAIN コマンドがイベントのアクションを指定するルールを満たす場合、イベント・データのキャプチャーの間、タスクが中断する場合があります。

同期点要求

同期点要求ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって実行される EXEC CICS SYNCPOINT 要求数のしきい値を定義します。 また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 EXEC CICS SYNCPOINT 要求と SYNCPOINT ROLLBACK 要求の両方がカウントされ、成功した要求だけでなく、失敗した要求も含まれます。

時間

時間ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって使用されるプロセッサー時間量のしきい値 (CPU 時間ポリシー項目)、または 1 つのタスクに要する経過時間量のしきい値 (経過時間ポリシー項目) を定義します。 また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 時間ポリシー・ルール・タイプが他のポリシー・ルール・タイプと異なる点は、しきい値が、API 要求のカウントや割り振られるストレージの量ではなく、時間に基づくという点です。

注: CPU 時間ポリシー項目の場合: プロセッサーの変更を記録するので、プロセッサー時間を継続的にカウントすることはできません。 そのため、この機能が検出する前のある時点でしきい値を超えている可能性もあります。 したがって、実行されたポリシーしきい値アクションとモニター・データを比較すると、何らかの矛盾がある可能性があります。 CPU 時間ポリシー項目では、合計プロセッサー時間がポリシーしきい値と比較されます。 しかし、タスクがプロセッサーの制御を放棄するまでプロセッサー時間値は増加しないため、プロセッサーの制御が放棄されて検査の実行ができるようになる前に、タスクがしきい値を大幅に超えてしまう場合があります。

CPU 時間ポリシー項目の場合、CPU 時間しきい値を超えたかどうかが検査されるのは、タスクが再ディスパッチされ、次に EXEC CICS 呼び出しが発行されるか TRUE (EXEC SQL 呼び出しなど) が呼び出されてからになります。 何らかの理由でタスクが制御を渡そうとしない場合、時間ポリシー処理が行われる前に、RUNAWAY 時間間隔を超えたタスクは通常の RUNAWAY 処理によって異常終了させられます。 経過時間ポリシー項目の場合は、タスクが EXEC CICS 呼び出しを発行するか TRUE を呼び出すたびに、経過時間しきい値を超えたかどうかの検査が行われます。 どちらの場合も、しきい値を超えた後にルール・アクションが異常終了すれば、コマンド完了後に異常終了が発生します。

TD キュー要求

TD キュー要求ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって実行される一時データ・キュー (TDQ) アクセス要求数のしきい値を定義します。 また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 EXEC CICS READQ TD 要求と EXEC CICS WRITEQ TD 要求の両方がカウントされます。XTDREQ グローバル・ユーザー出口によって応答コード UERCBYP (要求を無視) が返された場合も含め、要求の成否に関係なく各要求がカウントされます。

注: いくつかのプロダクトが CICS TDQ に書き込むため、予期した要求数より大きくなることがあります。 例えば Language Environment は、診断情報を書き込む際や、COBOL の display ステートメントおよび C の printf() ステートメントからの出力をキャプチャーする際に、EXEC CICS WRITEQ TD を広範囲にわたって使用します。 IP CICS ソケットは、EXEC CICS WRITEQ 要求を使用するもう 1 つのプロダクトです。

TS キュー・バイト

TS キュー・バイト・ポリシー・ルール・タイプを使用することにより、ユーザー・タスクによって個々の一時記憶域キュー (TSQ) タイプ (補助または主) に書き込まれる総データ量のしきい値、または補助 TSQ と主 TSQ の組み合わせに書き込まれる総データ量のしきい値を定義します。 また、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。 成功した要求からのデータのみがカウントされます。 EXEC CICS WRITEQ TS 要求によって書き込まれたデータと EXEC CICS WRITEQ TS REWRITE 要求によって書き込まれたデータの両方が合計にカウントされます。 EXEC CICS WRITEQ TS REWRITE 要求の場合、カウントの増分単位は REWRITE の合計サイズであり、元の WRITE と REWRITE の差分ではありません。 この動作は、MN ドメインでの TSQ WRITE 要求および REWRITE 要求の扱いと整合しています。

TS キュー要求

TS キュー要求ポリシー・ルール・タイプを使用して、1 つのユーザー・タスクによって発行される EXEC CICS READQ TS 要求および EXEC CICS WRITEQ TS 要求の数のしきい値を定義し、しきい値を超えた場合に自動アクションを実行します。対象となる要求は、補助一時記憶域キュー (TSQ) または主 TSQ のいずれかに対するもの、あるいは補助 TSQ と主 TSQ すべてを組み合わせたものです。 ローカル共有一時記憶域キューの読み取り要求も書き込み要求もカウントされません。 補助 TSQ および主 TSQ に対するすべての TSQ アクセス要求がカウントされます。 XTSEREQ グローバル・ユーザー出口によって応答コード UERCBYP (要求を無視) が返された場合も含め、要求の成否に関係なくカウントされます。 EXEC CICS WRITEQ TS REWRITE 要求は WRITEQ としてカウントされます。

注: 以下の事項は、TS キュー・バイトと TS キュー要求の両方のポリシー・ルール・タイプに適用されます。
  • リモート TSQ 要求の場合、READQ TSWRITEQ TS の総カウントのみが更新されますが、これには共有 TSQ 要求が含まれます。 リモート要求の TSQ タイプは AOR では認識されないため、特定のキュー・タイプのカウントは更新されません。 分散プログラム・リンク (DPL) によって起動されたプログラム、またはトランザクション・ルーティングによって開始されたタスクが発行した TSQ 要求は、リモート・システム (AOR) でのみカウントされます。
  • CICS ユーザー・タスクによって起動された何かの間接的な結果として CICS システム・コードによって発行された TSQ 要求が、カウントされることがあります。 例えば、ユーザー・タスクが CICS イベントを発生させると、一時記憶域イベント・アダプター DFHECEAT が TSQ 要求を発行します。 そのイベントが同期イベントとして定義されている場合、それらの要求はキャプチャー (ユーザー) タスクのもとで発行され、ポリシー・コードによってカウントされます。 そのイベントが非同期イベントとして定義されている場合、TSQ 要求は CICS システム・タスク (および初期プログラムが DFH を開始するタスク) のもとで発行されます。 したがって、そのタスクにポリシーは適用されないので、TSQ 要求はカウントされません。
  • CICS によって発行された TSQ 要求のうち、CICS EXEC インターフェース・プログラム (DFHEIP) を通らないものは、モニターではカウントされますが、ポリシー・コードではカウントされません。
ポリシー・ルール・タイプに関連付けられたしきい値について詳しくは、ポリシーしきい値を参照してください。